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今年大注目のCPIと雇用統計からみる今年の株価推移

主要指数1週間の動き

主要指数1週間の動き

今週の注目は先日発表されたCPI(消費者物価指数)、先週末には日銀の新総裁決定で市場が一瞬固まったニュースもありました。VIX指数が大きく下がっているのに株は全然上がらない一週間。イギリス、ユーロは相変わらず強く、利上げのニュースにもかかわらず強い。天然ガスの価格がひと段落しているのでそれがどのように反映されるのかが見どころ。インド銘柄がいい感じのカップウィズハンドルの形を描いてきました。今年はアジア株に注目です。

インドSENSEX

米国債利回り1週間の動き

米国債利回り

昨日のCPIの結果を受けて金利は全体的に大きく上昇。10年債利回りは下落トレンドを抜けて大きく上昇しております。

10年債利回り

思ったよりも雇用、CPIが強く、今年はFRBが長めに金利を高水準で維持すると予想。いったん天井をつけてダブルトップを形成して下がってくるとテクニカル的には考えられる。

為替一週間の動き

為替1週間の動き

ドルが強いというかは円が弱かった一週間の印象です。日銀の新総裁が思ったよりもハト派だったのもあるでしょうが、ポンド、ユーロ、ドルつよいですね。

ドル円日足

下落トレンドを否定して上昇中で、200日移動平均線(赤)くらいまではすんなりタッチを予想。

CPIと雇用統計からみる2023年、今後の戦略

2023年の株価は一度調整局面を迎える。

今年の株価は年中盤にかけて調整局面(一度下がる)可能性が高いと考えます。今年がっつり投資していきたい人、つみたてて追加投資を狙っている人は一度調整局面を待ちましょう。

今後の株価を予測するのに役立つ経済指標

なぜなら、数々の経済指標では堅調すぎる経済から米国のさらなる利上げ、または高金利付近での推移が予想されるからです。そして利上げの効果、経済への打撃にはタイムラグがあり、遅れてやってくる波がぶつかるのが2023年中盤だと予想します。

いろいろなデータ(CPIと雇用統計)を集めて独自に分析したものをご紹介します。

昨日発表されたCPIですがこれは物価の指数です。CPIは消費者物価指数というもので、英語から漢字の羅列が出てくるという金融あるあるの最悪コンビです。

簡単に言うと物価のことです。

モノやサービスが高いのか安いのか、これを表しているだけです。

一方雇用統計とはその名の通り、雇用に関する統計です。失業した人がどれくらいいるのかとか、就業した人の情報、賃金の情報なんかが見れたりします。

そしてこれら指標をみる理由は今行われている金利の利上げと非常に深い関係があるからなんです。

去年はウクライナロシア問題やコロナからの急激な復活があり、モノの価格が急上昇していました。いわゆるインフレです。

アメリカの中央銀行はこれらインフレを抑えるために金利を上げて、経済を冷ます「利上げ」を行っていたのです。

たとえば、金利をあげたら銀行から借りる金利も高くなるので企業はお金を借りてどんどん経済を盛り上げる行為がしにくくなりますよね。

もちろん景気が冷めて、インフレが収まれば利上げは終わります。

なのでこれらインフレや景気を知る指標を見ることによっていつごろ利上げが終わりそうなのか、または終わると市場が考えるのかを予想することができるのです。

CPI(消費者物価指数)

結論から言えば物価は予想の落ち方よりはかなり強く、市場はFRB(中央銀行)がさらに利上げをするか警戒しています。

そんなCPIはどんな物価をみているのでしょう。

構成項目をみてみると「食品」「エネルギー」「食品とエネルギーを除く項目(コア指数)」という大きな項目で構成されています。

さらにコア項目の中身は「財」と「サービス」に分類されるのです。この構成比率は去年12月時点で

食品13.8%

エネルギー7.9%

コア項目(78.3%)の中で

財21.2%

サービス57.1%

となっています。サービスがCPIに占める割合が非常に大きいことがわかりますね。ちなみにサービスの中でもさらに分類があり、「住居」「医療」「輸送」などなど、全部分けると合計8項目に分かれているんですが、この8項目のうちでもっとも構成比率の高いのが住居です。

今年から住居がより実際の経済に合った反映がされるように割合が増やされたといわれています。下記簡単にまとめたCPIの構成比率です。住居の影響が大きいことがわかります。

では、これらの項目と今回のCPIがどのように変化したのかを見てみましょう。

まず、全体でですが、総合CPIは前月比0.5%上昇と市場予想と一致。前年同月比では+6.4%と、前月の6.5%から減ってはいるものの、市場予想が6.2%だったので強かったという結論ですね。

さらに詳しく見たコアCPIは前月比で+0.4%。前年同月比で+5.6%と市場予想の5.5%を上回りました。やはり強かったってことですね。

ピクテレポート抜粋

さらに詳しく見ていきましょう。

サービスは引き続きプラス。先ほども説明した通り、住居費の上昇が要因の一つ。ただ、この住居費はタイムラグがあることでも有名です。つまり遅行指数です。

たとえば、家賃ってそんなにすぐ上げたり下げたりできるものではなく1年後の更新とかで反映しますよね。

エネルギーも1月はプラスに転じました。車を運転する人だと日頃ガソリンスタンドの前を通って値上がりに驚いた2022年でしたね。最近のガソリン価格の上昇も影響していますね。

ガソリン価格

食料品はわずかに上昇。

特に卵は前月比で8.5%も上昇していて、前年比では7割上がっています。皆さん買い物で気づいていますか?

さて遅れてくる住居費を除いた部分で考えると実は前月からわずかに減速しています。

ここが上下するのは給料(賃金)の上げ下げに寄りますよね。

ということで賃金が増えているのか減っているのか、そもそも失業している人が増えているのか、など労働のデータを見ることになるわけです。

失業した人が増えたら物を買ったりサービスを受けたりする人がいなくなるので物価もより鮮明に下がりますよね。

雇用統計の話

で、2月3日に公表された1月分雇用統計を見てみましょう。

非農業雇用者増加数は前月比+51.7万人増と事前予想を上回る増加でした。

失業率は3.4%と前月の3.5%からさらに低下。労働市場の底堅さがわかりますね。

1月はレイオフという言葉をよく聞いたと思います。首切りですね。アメリカの調査によれば米国に拠点を置く企業の1月の人員削減数は前月から2.5倍に膨らんだ約10.3万人だそうです。リーマンショック並みといわれており、そのうち4割IT人材といわれています。

じゃあなんで雇用統計強いの?と思った方もいらっしゃるかもしれません。実は人員削減計画の発表と実際の削減との間には若干の時間差があります。なので2月の雇用統計でこれらが反映されればしっかりと雇用の落ち込みが見えるというわけです。

楽天出典

賃金上昇率は低下してきています。

時間当たりの賃金上昇率は前月比+0.3%と予想通り。前年同月比は+4.4%で、前月の+4.6%からは小さくなってきています。

賃金上昇率が下がってきているのでだんだんと物価も下がっていくと予想されます。

しかし今は賃金がだんだんと低くなっていてもインフレ率が高い状態。

たとえば給料が上がっていないのにモノの価格だけ上がっているというイメージです。

こんなのがつづいたらいつか株を買っている人も売らないといけない日が来るかもしれませんね。

利上げを行っているのにもかかわらず、労働市場は堅調、賃金は下がってきているけどもインフレは下がりが悪いという状態。市場でだんだん利上げ継続または維持継続の不安が高まり、2023年中盤に大きく修正が入ることを予想します。

今後の戦略

S&P500日足

今後3月に雇用、賃金の急落、またはCPIの方で引き続き落ちないインフレが発生した場合、FRBは引き続きターミナルレートの維持を引き延ばすと考えます。

すると思ったより長期化する高金利により、マーケットはいったん調整局面。そこで株を仕込めるように今は現金(できればドル)を貯めておければ次の修正で大きく入れられるはずです。

またショックが大きければ利下げということも年末あたり考えられるのでその手前の今の段階で債券をナンピン買いしておくのも手だと思われます。

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プロフィール

こくチーズプロフィール

・幼少期よりヨーロッパ、アジアを中心に海外を周る。


・京都大学で建築のデザインを学び、図面制作事業(現Architech株式会社)を設立。


・首席で卒業後ゴールドマンサックス証券の当時最先端であるアジア株アルゴトレーダーとして勤務。1日に数100億円もの取引をさばく。


・2020年に独立後、株、為替、不動産、太陽光、マイニング、海外信託、ヘッジファンドなど様々な投資を行いながら法人向け運用&節税、個人向け資産形成&資産運用コンサルティング業を行う。


・関西と関東で教育の先生としても活躍。


・海外の金融の世界を見てきたならではの情報と分析をたまにブログに投稿している。

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