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テスラの収益モデルから読み解く未来の稼ぎ方:カーボンクレジット

ユキ
ユキ

テスラの財務諸表でよくわからない売上があるんだけどこれってなに?

財務諸表からテスラの収益モデルについてみていこう

スティーブ
スティーブ

テスラの財務諸表

S&P500が2017年から2021年までで110%上昇している間、2511%の株価上昇を出した企業テスラは皆さんご存じでしょう。

finviz dynamic chart for  TSLA

ではテスラの財務諸表は見たことある日本人はどれくらいいるでしょうか。やみ雲に「テスラいけてる!」と思うより、その収益構造を読み解くと新しいビジネスの可能性が見えてきます。

2020年の売上において「自動車の売上」が272億ドル(約2.7兆円)ですがその下にof which regulatory creditsという項目があります。

これが2020年は15億ドルでしたがどうやら前年比166%の伸びを出しています。これは見逃せないですね。テスラは車を売っているイメージでしたがこのregulatory creditsとはなんなのでしょうか。この売り上げはもっと伸びるのでしょうか。

ユキ
ユキ

すごい伸びね

Regulatory Creditsとは

連邦政府や州によって環境汚染ゼロに貢献したことに対して与えられるクレジット(ポイント)がRegulatory Creditsです。

これはカリフォルニアをはじめアメリカの全13州で採用されている制度で、地球環境改善を目指し、各自動車会社に一定数のZEVを製造することを課しています。ZEVとはZero Emission Vehiclesのことであり、炭素排出ゼロの自動車を言います。

この炭素排出制限を守らなければ罰金や免許が取り消されるというくらいの大事のようです。日本ではまだ取り入れられていない制度ですね。

かといってフォードなんかに今から全部電気自動車にしろと言われてもいきなりは無理がありますよね。

そこで彼らはどうするかというとテスラなんかからこのクレジットを購入します。すると炭素排出制限の枠をもらえることになるのです。

つまり、罰金を食らうくらいならテスラから排出枠を買った方が安いということなんですね。これは世界が地球温暖化対策に流れていくにつれ重要性は増していくでしょう。

罰金というのはだいぶ思い切った政策だね

スティーブ
スティーブ

テスラが製造しているZEV

テスラが生産しているのはそのすべてが電気自動車ですから、勝手にこのポイントは貯まっていきます。

テスラが長年制作したことにより獲得したこのRegulatory Creditsは今後も排出基準を満たすことを目的にした企業に売買されるでしょうね。その販売額が2020年で年間15億ドル(約1500億円)なので驚きです。

そしてこの収益の特徴はコスト(費用)がかからないことなんです。

車を売るためには車を製造しなければならず費用がかかりますよね。しかしこのRegulatory Creditsは費用がかからないので利益ベースでみるとかなりの割合を占めていることがわかります。

ユキ
ユキ

コストがかからない収益というのはすごいわね

どこが買っている?

テスラが販売しているこのRegulatory Creditsは対米国企業だけではありません。既に世界中で取引をされています。

中国では2019年からこういったクレジット制度を強めてきています。フォルクスワーゲンと中国企業のジョイントベンチャーがテスラから購入したこともニュースになりましたね。

フランスとイタリアの自動車会社が合併してできたStellantisという企業は2019年から2021年までで合計24億ドル(約2400億円)分のクレジットを買ったことからも世界的に注目されているビジネスモデルであることがわかります。

国を超えて取引をされているんだね

スティーブ
スティーブ

Regulatory Credits収益

2012年には約41億円だった収益は年々増加、2015年に一度落ち込んだものの2019年から2020年約3倍の増加がみられます。2012年から2020年度までの平均年間成長率は85%

なにより原価がかからないこの収益は今後もテスラを後押しするでしょうね。ようやくRegulatory Creditsなしで収益がプラスになったテスラが今後どこまで伸びるか楽しみです。

ユキ
ユキ

今後世界的に温暖化対策の規制が強まっていくにつれてテスラの立ち位置が強くなりそうね。

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プロフィール

こくチーズプロフィール

・幼少期よりヨーロッパ、アジアを中心に海外を周る。


・京都大学で建築のデザインを学び、図面制作事業(現Architech株式会社)を設立。


・首席で卒業後ゴールドマンサックス証券の当時最先端であるアジア株アルゴトレーダーとして勤務。1日に数100億円もの取引をさばく。


・2020年に独立後、株、為替、不動産、太陽光、マイニング、海外信託、ヘッジファンドなど様々な投資を行いながら法人向け運用&節税、個人向け資産形成&資産運用コンサルティング業を行う。


・関西と関東で教育の先生としても活躍。


・海外の金融の世界を見てきたならではの情報と分析をたまにブログに投稿している。

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