主要指数一週間の動き
先週から引き続き金利は上昇中、株は軟調で下落が進んでいる。
特に今週は各国の政策金利発表があることから様子見ムードで株はなかなか動かない状況である。
セクター別で見てみると不動産の下落が始まったのがわかる。
ツイッターの図でも上げたが、現在6ヵ月の米国債利回りがアメリカ不動産のキャップレート(平均利回り)に近づいてきて米国債に投資するメリットがなくなってきている。
米国不動産の利回りが下がってきているのが原因で年末までに米国債利回りが4%を超えてくるといよいよ不動産の下落がはじまるだろう。
すでにダラス、オースティン、ソルトレーク、シアトル、ロサンゼルスでは米国債の利回りが上回っておりウォール街の投資家は不動産を売り始めているようです。
ゴールドマンサックスが出した最新のレポートによると2022年末のS&P500の価格予想を4300(+11%)とおいている。
とはいえ金利の上昇による借り入れコストの上昇という懸念もあるが例年中間選挙と年末ラリーのアノマリーからすると最後の上昇があるかが焦点である。
引き続き10年‐2年利回りの逆イールドは継続中でますます広がっている。各種金融機関も近いリセッションを気にしており、リストラが始まっている企業も見られる。
今週は金利アゲアゲWeek
さて今週の注目点は何といってもFOMC。0.75bpsの利上げが織り込まれているが中には1bpsを予想する人もいる。予想通り0.75bpsだと一時的に円高が進む可能性があるが、よもや1bpsになったときにはドル円はさらに加速するだろう。
特に今週はアメリカ以外にも様々な国で金利発表がある。下図は今週金利の会合が行われる国を発表日の曜日別で表示している。
現執筆時点(水曜日)までには既に中国とスウェーデンの金利が発表されている。
スウェーデンの政策金利が0.75%から1.75%に大幅に引き上げられ、2012年以来の10年ぶりの高水準となった。
公表した声明文では「インフレは高すぎて家計の購買力を押し下げている」と今後も追加の利上げを続ける方針を打ち出した。
スウェーデンクローネの通貨は前々から気にはなっておりみてみるとやはり動いていた。
IG証券で取引が可能なのでぜひ参考にしていただきたい。
さらにこちら1%クラブの図。今年1%以上の利上げを発表した国である。米国もこの中に果たして入ってしまうのか。
ちなみに9月20日時点での各種金融機関の予想は…RBCが0.5%を予想、野村が1%、その他金融機関(GS,モルスタ、JPM、BoFAなど…)は0.75%の利上げを予想。
市場予想も84%が0.75%の利上げを予想している。
日銀の為替介入について考えてみる
9月14日に日本銀行はレートチェックというものを行った。
レートチェックとは日銀が銀行などの外為担当者に直接連絡して、為替取引を行う際の相場水準をリサーチすることをいう。
どうしてこのニュースが取り上げられているかというとこのレートチェックは日銀が為替介入を実施する直前で行われるからだ。
鈴木俊一財務相は同日、市場に対してあらゆる手段を排除しないと述べて、今までの口先介入から一歩前進という感じです。
さて、このレートチェックと日銀の介入は過去どういうデータがありそれによってどういう影響があったのでしょうか。
こちらの図のグレーの部分が円の介入を行った年。矢印がレートチェックを行った年である。
1980年代と1990年代には日銀のレートチェックは頻繁に行われていました。この時代は介入も頻繁に行われレートチェックの後には基本的に為替介入が起こっていました。
ちなみに為替介入を行うとなった場合は財務省所管の「外国為替資金特別会計」の資金を用いて行われます。
この外為特会の保有する外貨預け金11.5兆円及び、米国債約117兆円を売ることによってドル売りを行います。
つまりレートチェックをしたからといって必ず介入を行うわけではなく財務省のOKが出てはじめて実行されるのです。
2003年5月にはFRBのグリーンスパン議長が金利引き下げによって円高が進行、それを食い止めるために2兆円ほどの為替介入(円売りドル買い)を行った。
このようにかなりの介入を行うこともあれば、レートチェックのみ行い、介入を行わないこともある。
いずれにしろ一時的な介入はあまり効果がないと思っているのが私の見解。
まだまだアメリカの利上げスタンスは変わらず、たとえ一時的に介入を行ったとしてもゼロ金利政策を解かない限りなかなか円が長期的に買われる可能性は見えない。
ちなみにゴールドマンの最新レポートによるとここ直近3ヶ月の予想は145円、6ヵ月~1年後は135円、125円と円高方向に進む予想をしています。
米国不動産Cap Rateの考え方
不動産投資を考えるときによく用いられる用語にNOIとキャップレートというのがある。
今家を簡単のため1000万円で買ったとする。
毎年家賃収入が100万円あったとすると表面利回り10%である。
その後保険や管理費など諸々引いたあとに残った額が80万円(NOI)のとき、これをネットの利回り8%となる。
キャップレートとは一般的な物件のNOIを物件価格で割った値のことをいう。
つまり純粋な利回りである。
この利回りが米国債利回りと同程度になってきているというニュースが前半で紹介した話題である。
図をみたらわかるように6ヵ月債の利回りが昨今の金利上昇の影響を受けて上昇しており、米国の不動産Cap rateに近い水準になっている。
リーマンショックなどマーケットが崩れるのは不動産からといわれるように今回も大きなクラッシュが起こるのか注目である。
米国ではインフレ率が前年比8.3%と相変わらず大幅な記録を出しているがその中で特に注目されているのが住宅関連のコスト。
CPI(消費者物価指数)の伸びの中で増えてきているグレーの部分は住宅関連の費用である。
全ての物価上昇の中でこの割合がじわじわ増えてきているのが今米国で注目されている。住宅価格が下がっている今家賃をあげようにもその転嫁はだいたい1年ほど遅れてやってくるそうです。
いま住んでもらっているのに来月から家賃あげますとかできないですもんね。
ということで後進のタイミングや入れ替わりのタイミングで反映させるため、今の住宅関係の値上げはCPIにまだ反映されておらずいずれ増加するという目算がバークレイズのエコノミストより出ています。
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