目次
主要株価1週間の動き
先週今週は経済イベントが目白押し。さらには決算も諸々発表された上にファーストリパブリックバンクの破綻からの買収劇までいろいろあった一週間。
まずは日銀の金融政策決定会合
先週こちら植田新総裁となってからの初の金融決定会合でこの様子を見守るために為替は上下せずの1週間でした。そんな決定会合では「緩和維持」を決めるとともに、過去25年間の金融緩和策の「レビュー」を今後1年~1年半をかけて実施することを打ち出しました。
日銀の物価見通しは1月時点で22年度の3%から23年度は1.6%に下がり、2024年度は1.8というものでしたが、これが新しく修正されて23年度は1.8%になって、24年度も2.0になりました。
この物価見通しというのを安定的に2%に持っていけるように金融政策をおこなっていくということです。
ただ、まだまだ円安ドル高は続きそうですし、都区部の消費者物価指数は3.5%、生鮮食品を除いた食料は8.9%と前代未聞の上げ幅になっています。このペースで行くと年内に1.8%という日銀の見通しは低すぎると思いますが、どのように修正がなされるのか見ものです。
政策修正も期待されていたが、この緩和維持が発表されるとドル円は大きく上昇。1ドル135円台後半と一時3円近く円安が進みました。
予想通り、上昇し、200日移動平均線と抵抗滞に跳ね返されて戻ってきています。
いったん落ちてくるのが落ち着くまで待つのがベストですね。
ファーストリパブリックバンクの破綻&買収
3月頃にひと騒動合った銀行の破綻劇でしたが結局遅れてきたファーストリパブリックバンクの破綻です。
JPモルガン・チェースは公的管理下に置かれた米地銀ファーストリパブリックバンクを買収することになりました。
JPモルガンのお買い物袋
FRCの預金920億ドル(約12兆6500億円)
融資債権1730億ドル
有価証券300億ドル
を引き受け
対価として106億ドルをFDICに支払う。
一時期は大手銀行グループに資金を入れてもらって助かったかに見えましたが結局は助からなかったということですかね。
JPモルガン・チェースが特に欲しがったのがウェルスマネジメント事業。
実はこのFRC(ファーストリパブリックバンク)は富裕層を多く顧客に抱えていたのです。ファーストリパブリックの一部支店をJPモルガンのウェルスセンターに作り替える予定のようです。
以下それぞれの金融機関の3月末時点での運用資産残高です。
金融機関名 | 運用資産残高 | 主な金融機関買収 |
---|---|---|
モルガン・スタンレー | 4兆5600億ドル | 2009年にシティグループから証券会社スミス・バーニーの支配権を取得 |
米銀バンクオブアメリカ | 3兆5200億ドル | 2008年にメリルリンチを買収 |
JPモルガン | 2兆5900億ドル | 今回のファーストリパブリックバンクで2900億ドルの運用資産残高増 |
JPモルガンは2008年のベアスターンズの買収で住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売を巡り、買収後に巨額の訴訟費用がのしかかった。
今回はFDICとJPモルガンでFRCから引き継ぐ住宅ローンや商業ローンで損失が発生した場合今後5~7年で損失をFDICが8割負担する契約まで結びました。
今後連鎖的に金融機関が潰れる可能性はないと専門家は言いますがまだ市場には金融不安が漂っています。
今夜はFOMC
そんな今夜はアメリカFOMCです。
昨年3月以来10回目の利上げを発表する可能性が大きい。
今回の会合で0.25ポイントの利上げは大方予想通りになると思うが焦点はこの金利水準をどれほど長く続けるかという部分になってくる。
今回の0.25ポイント利上げを行うことにより、FF金利の誘導目標は16年ぶりの高水準に達する。
個人消費や製造業活動の鈍化など一部で景気が冷え込み始めているが雇用と賃金上昇は堅調でインフレが高止まりする可能性も出てきた。
マーケットでは9月に利下げが予想されているが個人的にはまだ伸びそう。
今後の見通し発言に注目。
収まらないヨーロッパのインフレ
円が全体的に弱くなったのは日銀会合以降だが、今週はヨーロッパ方面の通貨が強い。
アナリストの予想によると、ユーロとポンドは対ドルで過小評価されており、収まらないインフレ、想定外な底型い成長、エネルギー危機の緩和から金利をさらに上昇することになればさらにEUR,GBPの上昇圧力になる。
IMFは来年の米成長率は1.1%に鈍化すると予想。ユーロ圏は1.4%、中国は4.5%を見込む。
ただ、EURのCFTC先物市場による投機目的トレーダーのネットポジションを見ると、前回高値水準まで来ており、前回高値の2020年8~9月頃以降はこの買い越しポジションが減るのに合わせて大きくEURUSDも一時最後の上げが起こりその後下がった。
今回も何度か跳ね返されている水準まで来ており、ここからさらに大きくEURUSDが伸びるとは思わないが、短期的には買い、中期的には売りで攻めてみるのも面白い。
イールドカーブと日銀のYCCのお話
どうもです。
今日はイールドカーブとはそもそもなんなのかという話とYCCについて書きます。
YKKじゃないですよ。チャックでもないです。YCCです。
インスタに良い感じに絵も合わせたまとめたので読むのが面倒で理解力のある方はこちらをどうぞ。
さてそもそもYCCはなんの略かというとイールドカーブコントロールです。
つまりイールドカーブをコントロールする政策のことですね。ではこのイールドカーブがなんなのかというところです。
国債にもいろいろな種類があります。たとえば5年だけお金を国に貸す5年債、30年間貸す30年債などです。こういった年限の違いによっていろいろな国債があるわけなんですが、
短期でお金を貸すときと長期で貸すときはどちらの方が金利を高く設定しますか?
おそらく将来のことはわからないので高く設定しておこうとなると思います。
ということで一般的には5年債よりも30年債の方が金利は高くなるのです。
こういった別々の償還期間の債券の金利をプロットしてつなげたのをイールドカーブといいます。
一般的に借りるローンだったりもこういった金利をベースにして考えられているのです。
安倍政権発足とともにスタート
元々は2012年11月に野田政権が解散した後、安倍元総理が日銀の金融緩和を全面的に押し出して圧勝したことに始まります。
この頃はデフレと円高が問題視されており、
デフレと円高両方に対処するためにお金をじゃぶじゃぶにする金融緩和を公約に掲げたのです。
2013年には日銀総裁に黒田さんが就任。物価目標2%を掲げて、
4月には異次元緩和をスタートします。
「資金供給量を2年で2倍にする」という「量」に着目した政策とETFの購入という「質」にも焦点を当てたのでこれをQQE(量的質的緩和)と呼ばれていました。
大量に国債を買えば長期金利を大きく低下させることができ、国民への見栄えもよかったのです。
図で見ると2013年4月から日本銀行が保有する国債保有額がめちゃくちゃ勢いよく伸びていることがわかります。
その結果、10年債利回りはマイナスに沈み込み、長期金利で運用している保険や年金に悪影響が出てきました。
そこで2016年に導入されたのがYCCです。
ここでは質や量ではなく、10年債利回りを0%程度に誘導するという金利を目標にした政策に転換しました。
そのため国債購入スピードが一気に落ちたのもグラフでわかると思います。
日銀は短期金利を-0.1%、10年金利を0%程度というのを目標にイールドカーブつまり金利をコントロールすることにしたのです。
金利が0%となればそもそもの証券会社や銀行などの国債取引を通じた収益が亡くなるので流動性が減っていく。
取引量が低下する中で市場になにかイベントが起きたら急に大きな変動が生まれてしまいますよね。
そこで日銀は2018年7月に±0.2%、2021年に±0.25%、2022年12月に±0.5%まで拡大したのです。
この緩和が長引いてしまうとどうなるのか。。。
①円の金利が低く、他の通貨は利上げを行っているので円安が加速する。
②金利が低いということ、国債を日銀が買ってくれるということで国がいくらでも借金をしてしまう
③また、会社もお金を借り放題
④金融機関(保険、年金、銀行)の収益圧迫
などが影響出てしまいます。
他国が利上げをして世界的に金利が上がっている中、インフレも起きて日本も金利そろそろあげるんじゃね?ってなって世界から予想されているわけです。
しかし!
今回はそのYCCを修正せず、あくまで金融緩和は継続!
とのことなので、様子を見て今後をやっていくんでしょうが、為替、株がこれによってなぜ伸びたのかわかりましたかね。
まとめ
①さまざまな償還期限の債券の金利を線で結んだものをイールドカーブという
②日本は金融緩和を続けており、今は一定の水準に金利を納めるイールドカーブコントロールを行っている。
③世界的な金利の上昇、インフレによってこの政策に修正が行われるかがここ1年の注目点。
ちなみにアメリカでもFRBが1942年から1951年に賭けてYCCを行っていましたが、失敗に終わりました。長期金利に上昇圧力が加わった時に大量の国債を買い入れる必要があり制御不能になってしまう恐れがあったのです。
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